2008年02月25日

シベリウス交響曲第3番ハ長調

 夕方5時を回っても外は明るい。
 運河の向こうには、東京湾が広がり、房総の山がかすんで見える。
大きな客船がゆっくりと進んでいる。

 僕は8年前ぐらいだろうか。船と鉄道で韓国を旅したことがある。済州島の民宿に泊まり、船で木浦に向かった。木浦で何日か滞在し、セマウル号でソウルへ。僕は旅のお供にと木浦のレコードショップでカセットテープを買った。テープのジャケットにはハングル文字でキョンヒャングとかかれている。それだけで、僕は何か貴重なものを手に入れた気持ちになった。アシュケナージ盤だった。

 ちょうど季節は今頃だった。韓国最南端の島とはいえ、まだまだ肌寒さが厳しい。みかんの匂いが風に乗ってながれてくる。僕は無職だった。海を眺めながら、新しい出発ということを何度考えたことだろう。寒い海風に当たりながらも、前途に期待を感じる。僕の頭にはこの曲の1楽章の軽やかな旋律が旋回していた。

 韓国の旅から帰ってきて、1ヶ月後には岡山から東京に出てくることになるとは、このとき思ってもいなかったのだが。

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2008年03月08日

シベリウス カレリア序曲

 オホーツク海に今年最初の流氷が流れついたというニュースが先日あった。真っ青な空の下、流氷に春先の黄色い光が反射してなんだかまぶしい。間違いなく、凍りつくような寒さなのだが、氷がみしみしと太陽の光をあびて割れる音をきいて、何か期待感のようなものを感じはしないだろうか。

 僕は、シベリウスのカレリア序曲を聴くとき、なにか続々とするような期待感を感じる。冷たい自然の中で、春を待ちながら、脈打つ鼓動のようなもの、風にゆすられ、ときおり消えそうになりながらも、燃え続ける炎のようなもの、音楽を言葉で表現することは難しいが、僕なりの言葉で表すとこんな感じだ。

 劇音楽カレリアはシベリウス初期の傑作だが、そこには若き作曲家シベリウスのこれから始まる輝かしい作曲家人生に対する期待のようなものを感じる。序曲よりも組曲のほうが有名で、親しみやすい行進曲などもすばらしいが、序曲のぞくぞく感はもっとすばらしい。CDのほうは組曲だけのものが多く、序曲が入っているものが少ないのはなぜなのだろうと思ってしまう。

サラステ フィンランド放送響(RCA)
posted by やっちゃばの士 at 22:40| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | シベリウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月19日

シベリウス交響曲第1番

 明日は春分の日。みんな春の訪れを心待ちにしていて、わくわくしている。中でも北国の人は南国の人よりも一層心待ちにしているのではないだろうか。僕は大学卒業後、2年間札幌で過ごした。就職先も決まっておらず、大学院進学にも失敗して、ある人の勧めで北海道に行ったのだった。2年間フリーターとして生活し、朝は新聞配達を続けた。

 札幌の3月は東京で言えばまだ真冬である。瀬戸内の穏やかな風土で育った僕にとって、雪と氷の世界はとても気分的にたえうるものでなく、フリーターという自分の置かれた立場も相まって、気分が毎日のように塞いでいた。特に3月は12月から数えるともう4ヶ月以上氷と雪に囲まれていることになるので、閉塞感もピークに達し、3月は春なのにという失望感もあって、我慢が限界になるのだった。

 そんな時、夕暮れのアパートの一室で「春を恋しく思いながら」聴いていたのがシベリウスの第1交響曲の第2楽章。人によっては夏の夜想曲を連想するかもしれないが、僕には次のような光景が浮かぶのだった。

 3月の瀬戸内の海。夕暮れ時である。まだ冷たい風が砂浜の上を舞っているが、丘の菜の花畑からは春の匂いが漂ってくる。真ん前に見える小豆島も次第に黒い影になっていき、所々に街の明かりが灯りはじめる。遠方には、左から右へ、右から左へと赤や黄色、緑色のランプを灯した船がゆっくりと音もなく進んでいく。

 第3楽章は、春の訪れを喜ぶ野人の踊り。僕の心は何かの期待感に踊らされる。中間部はのどかな野人の休息と小鳥のさえずり。ハープの響きは憧れの存在の幻影のよう。

 第4楽章。さあ、また雪が降ってきた。明日も雪の中バイクを操りながら新聞を黙々と配るのだろう。まだ先が見えないが、僕はまだ若い。なによりも未来と希望が目の前にあるのだ。ひたすら前に進もう。

 
シベリウス:交響曲第1番シベリウス:交響曲第1番
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[タイトル] シベリウス:交響曲第1番
[アーティスト] フィンランド放送交響楽団
[レーベル] ワーナーミュージック・ジャパン
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posted by やっちゃばの士 at 17:53| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | シベリウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月09日

キワードクラシック「冬」B

 今日の東京は1日曇り空。とても冷え込んで、今にも雪が降りそうな空模様でした。ということで今日のキーワードも「冬」を連想する曲を。

 「冬」と言えば北欧の雄シベリウスの右に出るものはありません。凍りついたような冬の情緒を味わうならシベリウスの次の曲がおすすめです。

交響曲

交響曲第1番ホ短調
厳しい寒さの中に生きる強くたくましい意志の力を感じる曲。青年期から壮年期へ新しい意欲と自信がみなぎっている。荒々しい自然、冬の夜の子守唄、春の訪れへの期待など様々な心象が浮かぶイマジネーション豊かな曲。

http://yachaba.seesaa.net/article/90142780.html

交響曲第4番イ短調
暗く陰鬱な冬の空。第1番とは違って室内楽的な響きを持つ。暗くて不安な内面世界をかすかな光を求めて彷徨うような音楽である。病のあとに作曲された。

第1楽章 冬の灰色の空に閉ざされた世界。第1主題は闇に浮かぶ太陽のような雄大さがある。口ずさむようなメロディが皆無。

第2楽章 久々に姿を現した太陽と青空。やがて暗闇がしのび寄る。弦のトレモロで下降する音楽が再び闇へと運んでいく

第3楽章
再び暗闇へ。第1楽章は感情がない無機質な音楽だったが、こちらでは悲しみの感情が表れている。

第4楽章
再び青空へ。青空の下、氷の浮かぶ港を出発するような情緒がある。音楽は非常に軽やかで鉄筋の響きが、苦難を乗り切った作曲家のすがすがしい心境を表しているようである。

posted by やっちゃばの士 at 23:14| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | シベリウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月11日

キーワードクラシック「冬」C

 今日もシベリウスということで

シベリウスA


管弦楽曲
交響詩『エン・サガ』(ある伝説)
シベリウス初期の交響詩で、最初の成功作。荒々しいが印象的な主題が特徴的です。厳しい冬(困難、課題)を強い意志を持って前へ進もうとする作曲者の心が感じられます。


交響詩『夜の騎行と日の出』
闇夜の林を馬に乗って駆けていく情景と心の状態が表現されています。先回の記事の第4交響曲と似たところがあります。病になった経験がこの曲にも反映されているようです。やがて、闇夜が開け、朝日と小鳥のさえずりが旅人の心を晴れやかな心にしてくれます。


シベリウスは交響詩を多く作曲しました。大編成オーケストラの交響詩の質と量ではリヒャルト・シュトラウスと肩を並べる存在です。大編成のオーケストラというと、非常に音響効果を狙った外面的な音楽を想像しますが、両者とも実に内面的な世界を描き出しているのが特徴的です。

協奏曲

ヴァイオリン協奏曲ニ短調
作曲家自身が第1楽章の第1主題を「極寒の澄み切った北の空を、悠然と滑空する鷲のように」と述べています。僕の主観的な感想を述べるまでもなくこの曲は冬をイメージさせる曲です。

第1楽章
ヴァイオリンの冷たく透明感のある旋律によって始まる。オーケストラは逆にほの暗く、盛り上がりそうで盛り上がらない。第1交響曲や第2交響曲のような盛り上がりを期待する人は、もどかしさを感じるはずである。
第2楽章
第1楽章とは対照的な温かみのある音楽。真冬の夜、暖炉の中で燃え続ける炎のように暖かい。

第3楽章
ロンド。軽やかな音楽が展開される。

シベリウスの協奏曲はこのヴァイオリン協奏曲1曲のみです。ピアノ協奏曲なども残して欲しかったですね。



posted by やっちゃばの士 at 23:04| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | シベリウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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