2008年04月02日

サン=サーンス チェロ協奏曲第1番イ短調

 新入社員の季節である。街を歩く新入社員風の若者たちのコートが春の少し冷たい風にあおられてはためいている。彼らの表情を見ていると、さわやかな緊張感が伝わってくる。

 サン=サーンスのチェロ協奏曲第1番の冒頭の主題を聴くと、春のつむじ風を思う。デビューした時の緊張感に春のつむじ風がよく似合う。この曲はどちらかというと晩秋や冬のイメージを抱く人が多いようだが、この曲のもつ堂々とした自信と未来への希望のようなものが春のつむじ風を思い出させるのだろう。そういえば、この作品は彼が協奏曲の傑作を次々と生み出した壮年期の初期35歳の時に作られている。前年にはフランス音楽の復興と器楽の発展を目指して「国民音楽協会」を設立したばかりで、まさに意気込み絶頂に作曲された記念的な作品であるとも言える。

 僕の中では、サン=サーンスの曲は春から夏にかけてのイメージがある。彼の曲の持つ明晰な明るさとフランス風の情緒がそのように思わせるのかもしれない。一部の作品をのぞいて彼の作品はあまり演奏される機会が少ないが、もう少し評価されてもいいのではないか。

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デュフィ エッフェル塔

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[タイトル] サン=サーンス:チェロ協奏曲
[アーティスト] ヨーヨー・マ
[レーベル] ソニーレコード
[種類] CD

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posted by やっちゃばの士 at 15:14| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | サン=サーンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月05日

サン=サーンス ピアノ協奏曲第4番ハ短調

 6月に入って、やはり雨の日の方が多いかな。今日も先ほどから激しい雨が降りはじめた。先回はラフマニノフの第2交響曲のことを書いたので、今日はその曲とカップリングされてあったサン=サーンスのピアノ協奏曲第4番について書こう。

 僕が大学生の頃の90年前半の頃は、まだまだカセットテープが活躍していた頃で、僕はお金もなかったので、図書館でクラシックCDを借りてきてはカセットテープにダビングしていた。その時90分テープにラフマニノフの第2交響曲をダビングしたのだが、その余りに入れたのがこの曲である。当時、僕が知っていたサン=サーンスのピアノ協奏曲は第1番番、第2番と第5番くらいだった。彼のピアノ協奏曲は華麗でフランス的な優雅さとエスプリの効いた傑作だと思うのだが、なぜか彼のピアノ協奏曲のCDは少なく、図書館でこのCD(コラール盤)を見つけたときはちょっとうれしかったのを覚えている。

 さて、この曲は4番目に僕が聴いたサン=サーンスのピアノ協奏曲だが、彼のピアノ協奏曲の中では一番の傑作ではないだろうか。また、彼はヴァイオリン、チェロの傑作協奏曲を書いているが、協奏曲の中におけるピアノ協奏曲の存在感はナンバー1ではなかろうか。

 曲の構造は傑作第3交響曲とよく似ている。フランスシャンソンを思わせるような独特な雰囲気の第1楽章冒頭の中心主題、また第1楽章第2部のアンダンテ(交響曲はアダージョ)の痛みを和らげてくれるような癒しの音楽、第2楽章第1部(スケルツォ)の悲劇的だが何か喜びを予感させるような音楽。スケールは第3交響曲の方が圧倒的に大きいが、このピアノ協奏曲の延長線上にオルガン交響曲(第3交響曲)があるのは間違いないと思う。(ちなみに両曲ともハ短調)

 雨は上がりそうにない。今日の夜のイベントはどうなるだろうか。僕はこの曲を聴くと、しとしとと降り続く雨と、雨上がりの庭園を連想し、そして最後に「よかったねえ」という思いに胸が満たされるのだが、今日も「よかったねえ」と思えるようになりたいものだ。
ラベル:クラシック
posted by やっちゃばの士 at 17:21| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | サン=サーンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月14日

サン=サーンス 交響曲第3番ハ短調『オルガン付き』

 夕暮れ時、夕日を浴びたうろこ雲が風に流されていきます。木々のざわめきが聞こえるくらい強い風が吹いています。

さあっと窓から入ってくる風にインスピレーションを感じる

「風の歌を聴け」
「風の又三郎」

 風は感性を刺激したり、停滞した空気、ふさがった心に、活路やひらめきを与えてくれます。

 サン=サーンスの交響曲第3番の第1楽章導入部冒頭の愁いに満ちた弦の響きに僕はインスピレーションのような何か特別なものを感じます。この導入部


まるで特別な光と風にすうっと包まれるような感覚


です。僕のこの感覚が正しいかどうかは疑問ですが、この和音の響きに始まるこの交響曲は、この作曲家の最高傑作であり、フランスの生んだ交響曲の最高傑作であることは間違いないと思います。

フランスの傑作3大交響曲と言えば、

ベルリオーズの幻想交響曲
フランクの交響曲ニ短調
サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」


ですが、曲の美しさ、独創的な構成と展開、高揚性などを考えると、サン=サーンスのものが1番なのではないかと思います。別の言い方をすれば、一番非の打ち所がないと言ってもいいかもしれません。

 実際、サン=サーンスの音楽は非の打ち所が無さ過ぎるということで、同時代の音楽界からはあまり評価されなかったといいます。この評価は現代までも足を引っ張っているようで、例えばピアノ協奏曲などもっと取り上げられてしかるべき曲だと思います。

 この曲を作曲したとき、彼は決して幸せであるとは言えない境遇にありました。一般的にサン=サーンスは音楽以外の分野でも博学の天才として有名ですが、何もかも満たされた幸福な人生を送ったようではないようです。

 それにしても、才能と教育環境に恵まれた作曲家は必ずしも幸福だったとは言えないのが、クラシック音楽界の不思議です。

モーツァルト
メンデルスゾーン

そして
サン=サーンス

逆に、決して幸せではなかったことが、深く心を打つ音楽を生み出すことができたとも言えるのですが。

 
 最後に、この交響曲は、オルガンが使われることから「オルガン付き」と呼ばれていますが、ピアノも登場します。オルガンがコラール風の主題を力強く演奏する最終楽章が有名ですが、それ以上に、そこに至るまでの音楽がとても感動的です。個々の楽章について、別の機会に取り上げたいと思っています。


posted by やっちゃばの士 at 18:52| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | サン=サーンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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