2008年03月19日

シベリウス交響曲第1番

 明日は春分の日。みんな春の訪れを心待ちにしていて、わくわくしている。中でも北国の人は南国の人よりも一層心待ちにしているのではないだろうか。僕は大学卒業後、2年間札幌で過ごした。就職先も決まっておらず、大学院進学にも失敗して、ある人の勧めで北海道に行ったのだった。2年間フリーターとして生活し、朝は新聞配達を続けた。

 札幌の3月は東京で言えばまだ真冬である。瀬戸内の穏やかな風土で育った僕にとって、雪と氷の世界はとても気分的にたえうるものでなく、フリーターという自分の置かれた立場も相まって、気分が毎日のように塞いでいた。特に3月は12月から数えるともう4ヶ月以上氷と雪に囲まれていることになるので、閉塞感もピークに達し、3月は春なのにという失望感もあって、我慢が限界になるのだった。

 そんな時、夕暮れのアパートの一室で「春を恋しく思いながら」聴いていたのがシベリウスの第1交響曲の第2楽章。人によっては夏の夜想曲を連想するかもしれないが、僕には次のような光景が浮かぶのだった。

 3月の瀬戸内の海。夕暮れ時である。まだ冷たい風が砂浜の上を舞っているが、丘の菜の花畑からは春の匂いが漂ってくる。真ん前に見える小豆島も次第に黒い影になっていき、所々に街の明かりが灯りはじめる。遠方には、左から右へ、右から左へと赤や黄色、緑色のランプを灯した船がゆっくりと音もなく進んでいく。

 第3楽章は、春の訪れを喜ぶ野人の踊り。僕の心は何かの期待感に踊らされる。中間部はのどかな野人の休息と小鳥のさえずり。ハープの響きは憧れの存在の幻影のよう。

 第4楽章。さあ、また雪が降ってきた。明日も雪の中バイクを操りながら新聞を黙々と配るのだろう。まだ先が見えないが、僕はまだ若い。なによりも未来と希望が目の前にあるのだ。ひたすら前に進もう。

 
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[タイトル] シベリウス:交響曲第1番
[アーティスト] フィンランド放送交響楽団
[レーベル] ワーナーミュージック・ジャパン
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posted by やっちゃばの士 at 17:53| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | シベリウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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