2009年01月23日

シューベルト ピアノソナタ第14番イ短調

 シューベルトのピアノソナタの魅力は、幻想曲のような叙情性にあります。叙情性とゆったりとした大きな構成。そして、永遠のさすらう若者の憧れと情熱、失意の入り混じったその音楽は、心を透明にしてくれます。

 どのソナタもすばらしいのですが、特に印象が強く、作曲者の思いが強烈に伝わってくる1曲について。

ピアノソナタ第14番

 暗く不気味なつぶやきのような主題で始まります。つぶやきは、かなしみに発展し、力強く疾走します。この異常に暗い始まりは、まるで

モーツァルトのハ短調幻想曲
http://yachaba.seesaa.net/article/93157569.html
ブラームスの晩年の小品
http://yachaba.seesaa.net/article/106025020.html

のようです。モーツァルトは異次元空間に入っていくのですが、ブラームスは感極まりながらも停滞します。シューベルトはどちらかというとブラームス。第2主題は慰めるような優しい音楽ですが、どこか諦念めいたものを感じます。上昇しようとするが、現実に引き戻される。シューベルトはどういう境地だったのでしょうか。

 このソナタが作曲されたのは1823年。前ソナタとの間に実に4年のブランクがあります。このソナタを持って、ピアノソナタの新境地を開いたと言われていますが、次の作品は1925年。つまり、ぽつんとこの曲だけがブランクの真ん中で作曲されたことになります。

 このような背景を考えると、何か非常に深刻な強いメッセージがこの曲に込められているように思います。


 重い運命を受け止めて再出発するような時の気持ち。

重い病気か
失恋か
それとも音楽に関する何かか

 運命の宣告を受けて、諦念を感じながらも前向きに生きていこうとする作曲家の姿を見ることができます。

第2楽章アンダンテ 沈んだ抒情から高貴な羽ばたきへ
シューベルトのピアノソナタの緩徐楽章の中でもとびきり美しい音楽。

第3楽章アレグロ  木枯らしのような音楽
シューベルトの心は未解決のまま。彼はこのソナタで何をつかもうとしたのでしょうか。



posted by やっちゃばの士 at 06:59| 東京 ☔| Comment(1) | TrackBack(0) | シューベルト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
作曲とヴァイオリン演奏の玉木宏樹です。
私儀、このたび「クラシック埋蔵金、発掘指南書」(出版芸術社\1800)を上梓致しました。
不当にも埋もれてしまった名曲150曲を紹介していますが、今回、
http://8724.teacup.com/justint/bbsの掲示板を建て、作曲家名と作品名をお知らせしています。
一度ご覧になられてご意見,感想を賜れば幸甚でございます。

NPO法人 純正律音楽研究会のホームページもリニューアルしました。
http://just-int.com/
以上,よろしくお願い致します。
玉木宏樹

http://8724.teacup.com/justint/bbs

Posted by 玉木宏樹 at 2009年01月28日 15:32
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