2009年11月03日

ラフマニノフ 交響的舞曲

 秋の舞台。バレエの透き通る叙情がよく似合う季節になってきた。紅葉が湖面に美しく生える光景は


白鳥の湖
ローエングリン


の音楽を髣髴とさせる。零れ落ちるような透き通った叙情を持つ作品を僕は求めた。僕が興味を持ったのはラフマニノフだった。ラフマニノフのバレエ曲だったら、チャイコフスキーなみのきっと叙情あふれるものに違いないと。

 チャイコフスキーが開いたバレエ音楽というジャンル。彼に続くロシアの作曲家にとってバレエ音楽の作曲は無視することのできないジャンルであった。


ストラヴィンスキーは『火の鳥』『ペトルーシュカ』『春の祭典』

プロコフェエフは『ロメオとジュリエット』『シンデレラ』『石の花』

グラズノフは『ライモンダ』『四季』


ラフマニノフの交響的舞曲は当初はバレエ音楽として作曲されるはずであった。

第1楽章 朝
第2楽章 昼
第3楽章 夜


という構想だった。が、実際出来上がったものは、交響曲のような絶対音楽で、交響曲第3番に近い雰囲気を持っている。叙情的な要素を持ちながらも、どこか都会的な雰囲気や不安、胸騒ぎを感じさせる。


この作品にはオーケストラ版と2台のピアノ版があるが、僕は2台のピアノ版の方を好む。実際に、先に作曲されたのは2台のピアノ版だった。オーケストラ以上に交響的だと思う。

晩秋の都会の星空を見ながら、聴きたい1曲である






posted by やっちゃばの士 at 22:04| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ラフマニノフ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月11日

ベートーヴェン ピアノソナタ第30番ホ長調

 ベートーヴェンの晩年のピアノソナタ3曲。これらは初期のソナタのように同時に作曲されたものではないが、その音楽の持つ抒情性と内向性は共通している。久々に聴いてみた。


瞑想性
透明感
内省的



 僕は1日を振り返る就寝前の時間にぴったりくる音楽だと思う。そして、かすかな


希望と期待



が見えるところが、ベートーヴェンらしい。明日への希望を抱きながら土砂降りの夜、僕は眠りに就いた。

EPSON001.JPG
posted by やっちゃばの士 at 10:51| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ベート−ヴェン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月15日

ブルックナー 交響曲第7番ホ長調

黄昏の交響曲

僕はブルックナーの第7交響曲を聴くと、黄昏のオレンジ色のまぶしい光に包まれた感じを抱く。


まばゆく暖かい光


この曲の第1楽章はブルックナーの交響曲の中で、他にはない特徴を持っている。それは第1楽章の速度である。作曲家の指定は


アレグロ・モデラート(程よい速さ)


だが、実際にはもっとゆったりと聴こえる。ゆるやかな水の流れのように音楽が流れていく。


ゆったりと流れる第1主題と第2主題
アクセントを効かせる英雄的な第3主題




 ブルックナーの交響曲は、この第7交響曲をもって、新しい境地、次元に入る。それまでの曲に顔を出していた自然を連想させる音楽は少なくなる。ブルックナーの交響曲を僕は次のように分類している。


0〜1番 教会のステンドグラス
2番   教会の中から自然界へ
3〜5番 自然、地、現在形の交響曲
6番   自然から天へ
7〜9番 超自然、天、過去と未来の交響曲



ブルックナーの視点は、だんだん遠くのものを見つめるようになって行く。






posted by やっちゃばの士 at 23:43| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ブルックナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月20日

ブルックナー 交響曲第8番ハ短調

 紅葉と青い湖面。朝日を浴びて湖面からはまばゆい光と湯気が立っている。空気はどこまでも冷たく、晩秋の足取りは日に日に早くなっていく。


ブルックナーの交響曲第8番


 晩秋になると、僕はこの曲を聴きたくなる。どの楽章も、おそろしく充実していて、この曲と向かい合うためにはちょっとした気構えが必要だ。

特にこれ以上はないだろうというのが

第3楽章アダージョ
第4楽章フィナーレ


アダージョの美しさは、まるで湖面に映った錦秋のようだ。その情緒は同じく有名な第7交響曲のアダージョとはまったく異なる。ローエングリンの第1幕への前奏曲に近い世界があると思う。

フィナーレは晩秋の行進のようだ。晩秋というのは一気に年末に向けて進んでいくもっとも時間が過ぎて行くのが早い季節だ。また、この時期は文化祭などが多いのだが、1年の総決算の成果を発揮するのがこの季節だ。総決算をしてから翌年あるいは冬の準備に入るというふうにとらえることもできる。この楽章は、この作曲家の総決算とでも呼ぶべき価値を持っている。


高みに向かって突き進むエネルギー


暮れの銀杏並木の間を、漠然とした理想に向かって突き進む。それは見えそうで見えないもの。たぶん、見えていたら、ここまで音楽を美しく感じることはできないであろう。見えたら、そこで上昇は止まってしまうのだから。




posted by やっちゃばの士 at 09:05| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ブルックナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月24日

ブラームス 弦楽四重奏曲第1番ハ短調

 ブラームスの弦楽四重奏曲は傑作か?特に第1番の弦楽四重奏曲を聴くたびに、僕は何度もこのような質問を自分にぶつけてみる。


確かに、名曲として一般的に紹介するには、


ちょっと渋すぎる
内へ内へとこもっていく暑苦しい音楽
なにか焦りのようなものを感じる
メロディとは程遠い



などなど気軽に薦めることができる曲とは言いがたい。それでも、この曲はブラームスの作曲エキスが濃縮されているいう点では、他のブラームスの弦楽室内曲(四重奏曲よりも評価が高い六重奏曲、五重奏曲)以上の価値があると思う。


意図的過ぎる各パートの役割
実験的な表現
怒りとかなしみと野望がごちゃごちゃになった感情の塊


この曲の作品番号は51の1で、作品51の2は第2弦楽四重奏曲である。このような作品番号のつけ方は、この2曲が双子のような性格を持っていることを表していると思う。激しい1番と叙情的な2番と表面的には対照的だが、根っこは内面的で渋く同じように感じる。


ブラームスファンにはたまらなく魅力的な1曲である




posted by やっちゃばの士 at 23:46| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ブラームス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月29日

エルガー 『エニグマ変奏曲』そのA

 すっかり落ち葉も散った晩秋の夜。ここのところ、妻と一緒にソファに座って話しているときが、一番気持ちが落ち着く。子どものことや、テレビの話題など、取り留めのない会話を交わしながら、また一日が終わろうとしている。


2人三脚


 妻の力によって、成功した音楽家がいる。エルガーがその1人だ。エルガーにとって、その妻アリスはミューズであり、最大の支援者であった。有名な『愛の挨拶』もこのアリスの存在があってこそ生まれたものである。

 エルガーの出世作となった『エニグマ変奏曲』も、曲の主題は妻の気づきにあった。この曲の正式名称は


『独創主題による変奏曲』


このほの暗く高貴な感じのする主題ほど、


ノブレスオブリージュ

ということばがぴったりくる音楽はないだろう。エルガーの渋いオーケストレーションにもかかわらず、この曲が人気があるのは、紛れもなくこのノブレスオブリ−ジュな主題に原因があるのは間違いないだろうと僕は思う。






posted by やっちゃばの士 at 00:14| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | エルガー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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