2009年09月08日

ショパン ピアノ協奏曲第1番 ホ短調

 久々にショパンのピアノ協奏曲を聴いた。前の『雨だれ』前奏曲のところでも書いたが、僕はショパンの曲はあまり好きではない。特に、2曲のピアノ協奏曲のうち第1番のほうは、

ちょっとよそ行きな雰囲気

で、ぜんぜん好きになれなかった。ショパンコンクールでお馴染みの超名曲なのに、好きになれないのはなぜだろうか。ショパンの協奏曲を初めて聴いてから今まで、どうやったら好きになれるだろうかと何度も考えたものである。

ショパンはオーケストレーションが下手だったという評価は誰もが知っている事実だが、やはり、このコンチェルトのオーケストレーションも弱い。

能面のようなオーケストレーション

生意気ながら僕はそう思ってきた。第2番は20歳の青年の熱い燃えるような心が炎を吹き出しているので、そこそこ好きになれたが・・・。

今日出会った演奏はツィマーマン盤。前々から評判の高い演奏であることは知っていたが、曲そのものに関心がなかったので今日まで聴くことがなかった。この演奏は一言。

緩急、強弱、濃淡がやりたい放題
ショパンの霧がこんなに刺激があるなんて

正直、まったく別の曲だと思った。と同時にショパンの楽しみ方がちょっとわかったような気がした。

ショパンの曲は器楽的な演歌

演歌的な器楽曲にしていくことで新しい境地が開けるのかもしれない。わかったような、わからないような不思議な余韻を感じながら、久々にショパンのCDに手を伸ばしてみようと思った。





posted by やっちゃばの士 at 00:29| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ショパン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月12日

ブラームス 2つのラプソディ

 秋の青い空とひんやりした空気にはブラームスのピアノ曲が良く似合う。ブラームスのピアノ曲は独特の情感を持っていると僕は思う。
ベートーヴェンにも、シューマンにもない俳句の持つ「わび・さび」の世界がそこにはあるように思う。

わび・さびとは日本の美意識で、一般的には質素で静かなもののことを指す。

ドイツの作曲家の中でこの「わび・さび」の情感をピアノで表現できたのが

バッハ
シューベルト
ブラームス


の3人である。グールド、ルプー、アファナシエフのように叙情を大切にするピアニストが好んで彼らの作品を取り上げるのもうなずける。

秋の午前には第1番
秋の午後は第2番

ブラームスのピアノ曲の中で初秋にふさわしいのが、この2つのラプソディだ。言わずと知れたブラームスのピアノ曲でもっとも有名な曲。

秋の青空のような澄んだ叙情
男性的な低音域
メカニックな独特の緊張感


2曲ともに共通する楽想だ。2曲をセットにした作曲者の思いが伝わってくるようである。そういう意味では

双子のラプソディ

と名づけたほうがいいかもしれない。


ブラームスのピアノ曲の楽想的特長は2つ。

子守唄とラプソディ

初期のソナタを除くと、ほとんどの曲がどちらかのカテゴリーに入る。また1曲の中にこの両面の要素が共存している。

これからますます秋が深まっていく。何度もブラームスのピアノ曲を聴くことだろう。


posted by やっちゃばの士 at 23:48| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | ブラームス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月16日

ショパン ピアノ協奏曲第2番へ短調

 ショパンのピアノ協奏曲はやはり2番の方がいい。20歳の若者の気概と心情がストレートに伝わってくる。

 それにしても、この2曲の違いはなんだろう。ショパンは同じような曲を書いても仕様がないと判断したのだろうか。おそらく、このへ短調協奏曲で自らの心にたまった思いをすべて吐露し尽くしたのだろう。

第1番(ホ短調)フォーマルな協奏曲
第2番(へ短調)個人的な協奏曲


2番は1番よりも先に作曲されたのだが、出版が遅くなってしまったため、順番が逆になってしまっている。この順番は偶然のようだが、僕はそこに照れくさいショパンの思いが働いているような気がする。

ストレートなパッション
繊細な心のように揺れる音楽
日本画のような濃淡


初恋の女性を描いた第2楽章が有名だが、この曲の一番の魅力は第1楽章だろう。水墨画のようなオーケストラの上を、自由自在に舞うピアノは傷ついた竜のようだ。
posted by やっちゃばの士 at 06:54| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ショパン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月23日

エルガー 交響曲第1番変イ長調


秋の青空にまっすぐな飛行機雲

 晴れ晴れとした心で迎えた秋の休日。エルガーのあの高貴な交響曲第1番の冒頭の序奏が浮かんでくる。エルガーの交響曲と言えば

地味で長大
デモーニッシュなところがない



イギリス音楽そのものなのだが、この曲には


それに勝る気高さがある


 作曲されたのは1908年、エルガー50歳の時のこと。50歳になるまで交響曲の構想を温めてきたのだろう。


まるで長い年数を経て完成した巨大な戦艦の進水式のようである


 先に述べたような気高さや、高貴さは人生の円熟期を迎えて、初めてにじみ出てくるものではないかと思う。大器晩成型の作曲家には僕は非常に共感するものがある。

 ところで、僕は結婚して間もないころ、妻と一緒にハワイのオアフ島にあるパールーハーバー(真珠湾)に行ったことがある。パールハーバーを目の前にして、浮かんできたのがこの曲の第1楽章の第1主題だった。若い兵士たちが飛行機で隊をなして出陣していく光景が僕には見えていた。

新しい出発
人生の門出
厳かなセレモニー


にぴったりくる曲ではないだろうか。

 そして、最後に第3楽章の長大なアダージョ。その夢幻的な美しさは、過去の美しい思い出を回想しているようでもあり、ちょっと平坦なこの曲の楽想を、変化にとんだ魅力的なもにすることに役立っている。間違いなく、イギリスの生んだ交響曲の代表格だろう。




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2009年09月25日

ブラームス ピアノソナタ第2番嬰へ短調

 優れたピアニストとして世に出たブラームスの初期の作品はピアノ曲で固められている。

作品番号1 ピアノソナタ第1番ハ長調
作品番号2 ピアノソナタ第2番嬰へ短調
作品番号4 スケルツォ変ホ短調
作品番号5 ピアノソナタ第3番へ短調



 これらの作品はブラームスがまだ20歳になるかならないかという頃に作曲された若者の意気揚々しさと瑞々しい感情にあふれた傑作である。

 ブラームスはピアノソナタ第3番を完成させた後、2度とピアノソナタを作曲することはなかった。そういう意味では、ブラームスのピアノソナタの位置づけは


ショパンのピアノ協奏曲と似ている


とも言えるだろう。そして、面白いことに、ピアノソナタ第2番の方がピアノソナタ第1番よりも先に作曲されていることも、ショパンのピアノ協奏曲の番号と事情が似ている。

第1番 ちょっと技巧的にこだわりを感じさせるまとまりの良い作品。第1楽章の第1主題はベートーヴェンのピアノソナタ第29番そっくり。この作品を初めて聴いたとき、素人の僕も驚いてしまった。あえてベートーヴェン的な主題をもつこの作品をソナタ第1番として、最初の大演奏旅行にひっさげてリストやシューマンの門を叩いた彼の心がなんとなくわかるような気がする。

第2番 飾り気のない実直さが気持ちよい。僕は3曲のピアノソナタの中でこの曲が一番好きだ。3曲の中では最も若く、シューマンぽさを感じるところもある(シューマンのピアノソナタ第1番も嬰へ短調)が、若者の楽想爆発といった感じで、武骨だがストレートな若きブラームスの姿が目に浮かぶようである。素晴らしいのは第4楽章で、序奏付きのソナタ形式。3つのソナタの最終楽章の中では最も規模が大きく充実している。

 ちなみに、なぜこの嬰へ短調のソナタを第1番としなかったのか。それはショパンと同じような照れくさい気持があったからではなかろうかと僕は勝手に推測している。




ブラームス:ソロ・ピアノ作品全集

ブラームス:ソロ・ピアノ作品全集

  • アーティスト: オピッツ(ゲルハルト),ブラームス
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2003/06/25
  • メディア: CD



posted by やっちゃばの士 at 00:22| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ブラームス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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