2009年01月14日

こんな時はこの曲「新年に聴きたい曲@」

 このブログもしばらくお休みが続いてしまったが、2009年を迎えて今日が初エントリーとなる。お正月はもう過ぎてしまったが、新年にふさわしい曲を今日は紹介する。

スメタナの交響詩『我が祖国』より第1曲ヴィシェフラド

この曲は第2曲『モルダウ』によって超有名曲となっているが、僕が新年にふさわしいと思うのは第1曲『ヴィシェフラド』である。『ヴィシェフラド』とはプラハ市内(チェコ)にある城で、高い城とも訳されている。

 曲はハープの清らかな旋律で始まり、しばらく後、オーケストラによって静かにヴィシェフラドの主題が姿を現す。ハープの響きは新年の新しい清らかな朝の雰囲気そのものであり、朝日を浴びてヴィシェフラドが眠りから目を覚ます音楽は、まさに穏やかな新年の朝を山や川、海、街などを眺めながら迎える時に味わう心情そのものである。

 やがて曲は緊張した雰囲気に入っていくのだが、ここはまさに

 新年の固い決意を誓う僕たちの心の動き

そのものである。すべての出発点、動機の出発点とでも言ったらいいのだろうか。本当に内容の濃い曲である。『我が祖国』の中でもスメタナはこの第1曲に相当力を入れたのではないだろうか。ヴィシェフラドは一言で言えば

 あらゆる可能性を秘めた種のような音楽

である。この第1曲は可能性の余韻を残して静かに曲を閉じる。

 さて、『我が祖国』
第1曲『ヴィシェフラド』
第2曲『モルダウ』
第3曲『シャールカ』
第4曲『ボヘミヤの森と草原から』
第5曲『ターボル』
第6曲『プラニーク』


からなるのだが、どの曲も傑作ばかりで、説明が長くなるので、今日は割愛。ちなみに僕のベストは『タボール』と『プラニーク』。この2曲はフス教徒のコラールが共通の主題として扱われており、密接な関係を持つ。ちなみにこのコラールはドヴォルザークの交響詩『フス教徒』にも使われている。

 それにしても、この曲はスメタナの数少ない傑作の中でも飛び抜けて霊感に満ちており、なぜこんなすばらしい曲を書くことができたのか不思議の思うのは多分僕だけではないはずだ。スメタナは耳が聞こえない状態で、この曲を書いたと言われるのだから、やっぱり神懸かった奇跡の曲であることは間違いなさそうだ。



posted by やっちゃばの士 at 17:56| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | スメタナ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月16日

こんな時はこの曲「新年に聴きたい曲A」

 もう15日も過ぎてしまいましたが、来年の新年まで待てないため、今日も新年の曲。

ハイドン弦楽四重奏曲第78番変ロ長調『日の出』

 今年は初日の出を見過ごしてしまいましたが、布団の中で見事な初日の出の情景を思い浮かべていました。ゆっくりと昇る朝日。この四重奏曲の第1楽章冒頭の上昇カーブはまさに正月の初日の出にふさわしい。

 この曲はハイドンの弦楽四重奏曲の最後を飾る『エルティーディ四重奏曲』全6曲の第4曲目。それにしても、この曲集はすばらしい。この曲が作曲されたのは1796年

モーツァルトのハイドンセットが1782年
ベートーヴェンの初期弦楽四重奏曲集が1798年

なので、この曲は結構新しいのです。ハイドンと言えばモーツアルトより前の人と思ってしまうかもしれませんが、ハイドンは長生きでしたから。この曲集はハイドンの独創性が本物であることを証明しています。




 
posted by やっちゃばの士 at 23:18| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ハイドン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月23日

シューベルト ピアノソナタ第14番イ短調

 シューベルトのピアノソナタの魅力は、幻想曲のような叙情性にあります。叙情性とゆったりとした大きな構成。そして、永遠のさすらう若者の憧れと情熱、失意の入り混じったその音楽は、心を透明にしてくれます。

 どのソナタもすばらしいのですが、特に印象が強く、作曲者の思いが強烈に伝わってくる1曲について。

ピアノソナタ第14番

 暗く不気味なつぶやきのような主題で始まります。つぶやきは、かなしみに発展し、力強く疾走します。この異常に暗い始まりは、まるで

モーツァルトのハ短調幻想曲
http://yachaba.seesaa.net/article/93157569.html
ブラームスの晩年の小品
http://yachaba.seesaa.net/article/106025020.html

のようです。モーツァルトは異次元空間に入っていくのですが、ブラームスは感極まりながらも停滞します。シューベルトはどちらかというとブラームス。第2主題は慰めるような優しい音楽ですが、どこか諦念めいたものを感じます。上昇しようとするが、現実に引き戻される。シューベルトはどういう境地だったのでしょうか。

 このソナタが作曲されたのは1823年。前ソナタとの間に実に4年のブランクがあります。このソナタを持って、ピアノソナタの新境地を開いたと言われていますが、次の作品は1925年。つまり、ぽつんとこの曲だけがブランクの真ん中で作曲されたことになります。

 このような背景を考えると、何か非常に深刻な強いメッセージがこの曲に込められているように思います。


 重い運命を受け止めて再出発するような時の気持ち。

重い病気か
失恋か
それとも音楽に関する何かか

 運命の宣告を受けて、諦念を感じながらも前向きに生きていこうとする作曲家の姿を見ることができます。

第2楽章アンダンテ 沈んだ抒情から高貴な羽ばたきへ
シューベルトのピアノソナタの緩徐楽章の中でもとびきり美しい音楽。

第3楽章アレグロ  木枯らしのような音楽
シューベルトの心は未解決のまま。彼はこのソナタで何をつかもうとしたのでしょうか。



posted by やっちゃばの士 at 06:59| 東京 ☔| Comment(1) | TrackBack(0) | シューベルト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月29日

キーワドクラシック「冬」@

 寒い日が続きます。冬の日に聞きたい曲ということで、北欧の作曲家の曲を取り上げようと思います。寒い冬に寒い北欧の曲なんてと思うかも知れませんが、今日は暖炉に当たりながら聴きたい曲を。

 グリーグ『ホルベルグ組曲』

 ノルウェー語では『ホルベアの時代』と訳されますが、弦楽合奏で演奏される叙情的で暖かみをもった組曲です。ホルベアというのは、グリーグの時代から約200年前にノルウェーで活躍した劇作家。グリーグはホルベアの生誕200年祭を記念して、この曲を書いたのでした。

 200年前と言えば、バロック時代。曲は擬バロック調で書かれています。擬バロック調の組曲といえば、

ストラヴィンスキーの『プルチネラ』
レスピーギの『リュートのための古風な舞曲とアリア』

などが、有名ですが、これらの曲と較べて、抒情やロマン性が豊かなのがこの曲の特徴です。

 白夜の夏を思わせるような爽やかさもあるので、冬とはかけ離れたイメージを感じるかも知れません。ただ、僕は雪の降る夜の暖炉の前で白夜の夏も含めて、昔を回想しているような気がしてならないので、あえて冬の曲に入れてみました。

第1曲 前奏曲
軽快なそり遊びを思わせる非常に爽やかな音楽。作曲者の澄んだ心が見えるよう

第2曲 サラバンド
やさしさがにじみ出ている音楽。バロック調だが、紛れもないロマン派音楽を堪能できる

第3曲 ガボットとミュゼット
軽快な舞曲。夏至祭りの楽しい雰囲気が伝わってきそう

第4曲 アリア
夜の暖炉。とてもしみじみとした曲。暗い深淵に入りそうになるが、一歩前でとどまり再び軽快な舞曲へ。

第5曲 リゴードン
さあ、未来へ向かって。ノルウェーの文化は未来へ発展する。楽しく踊ろう。春は近い。


ラベル:グリーグ 暖炉
posted by やっちゃばの士 at 19:39| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | グリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月31日

キーワードクラシック「冬」A

 昨晩から冷たい雨が降り続いています。街灯が冷たい夜空から降ってくる雨を白く照らします。東京では雨雨ですが、北国では雪が降っているのでしょうか。

 僕は札幌に2年間住んでいました。瀬戸内育ちの僕にとって、雪と氷と鉛色の空に閉ざされた北国の冬はとても辛かったです。冷たい大都市の明るい夜空からしんしんと落ちてくる白い雪。果てしなく続くこの光景を見ると、

シューマンのピアノ曲『交響的練習曲』

の旋律が浮かんできます。30分以上する大曲ですが、終曲の手前まで延々と暗く塞いだ抒情の音楽が変奏しながら続いていきます。


 シューマンはピアノ曲の作曲家としてスタートしました。初期の作品はほとんどピアノ曲で、多くの傑作を生み出しています。どの曲も独創的な発想によって作られており、非常にユニークですが、シューベルトやブラームスのような深い抒情やドラマティックでぞくぞくするような展開があまりないように僕は思っています。標題性やメルヘンにこだわるあまり、縦方向(内面)よりも、横方向(外面)に変化に富んだ作品が多くなっているように思います。

 彼のピアノ曲は、表題を持った小品が多く、ソナタなどの表題を持たない作品は少数派です。表題を持った曲に、ロマンティックな抒情を求めてしまうものですが、シューマンの場合は逆に表題を持たないソナタなどの曲の方がロマンティックなのではと僕は考えています。この『交響的練習曲』は、練習曲というタイトルからテクニックを連想しがちですが、ピアノのダイナミックな音響と深い抒情が味わえるシューマンのピアノ曲随一の曲です。

 この曲は13の変奏曲からなりますが、先に述べたとおり、暗く沈んだ抒情が延々と続いていきます。まるで、躁鬱だったシューマンの長い鬱世界を彷徨うがごとくです。それでも、この抒情はシューマンの晩年の作品に見られるような暑苦しい鬱はなく、しみじみとした心地よい抒情となっているのが特徴です。あえて言葉で表すと、

この抒情が雪がしんしんと降る抒情雪

にぴったりなのです。

さて、北海道では3月になって、少し暖かい空気になると、氷が溶けて地面が見えるようになるのではと淡い期待を持ったものです。

春が突然やってくる

 現実にはあり得ないことですが、この曲ではありえないことが起こります。終曲の第13変奏では、いきなり元気のいい長調になり

歓喜が演奏されます。晴れ

まるで

いっぺんに春が来たような音楽です。exclamation

 本当に突拍子もなく勝利がやってくるので、不自然な感じもしますが、躁鬱(フロレスタンとオイゼビウス)のシューマンだからこそ書けた音楽ということで、妙に納得してしまうものです。この最終部は何か今までためてきたエネルギーが爆発したような爽快感があり、とても聞いていて気持ちがいいのです。


フロレスタンとオイゼビウスについて
http://yachaba.seesaa.net/article/106514298.html




posted by やっちゃばの士 at 23:57| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | シューマン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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