2008年12月22日

マーラー交響曲第2番ハ短調『復活』

 気がつけば、12月も後半に入りクリスマス目前の今日。年末のクラシックと言えば、『第9』や『メサイヤ』だが、『第9』のような英雄的な歩みを今年やってきたのかと考えると、失敗や悩みが多かったのがこの1年だった。ひそかに来年の飛躍を祈念しながら、マーラーの『復活』を聴いてみたい。

 マーラーの交響曲の中で、1番感動的に盛り上がる曲はこの曲をおいて右に出る者はないだろう。とは言うものの『第9』のように苦悩から勝利へというストーリーが単純に描かれているわけではない。マーラーはこの曲で何かを勝利したのか?

勝利と言うよりも、敗者の復活勝利への希望

 僕がいつも何度もこの曲を聴きたくなるのは、このようなところにあるかもしれない。

第1楽章   敗者の嘆き
第2、3楽章 癒しの歌
第4楽章   差し込む光
第5楽章   復活

 僕は第1楽章はあまり好きではないので、いつも第2楽章から聴いている。この曲は若々しいマーラーの姿を思いながら、聴くのがいい。それにしても、最終楽章の出だし「最後の審判」の部分は爽快だ。ハリウッド音楽のような親しみやすい旋律とリズムがこれでもかと流れていく。一度聴いたら、やみつきになる音楽の典型だ。アメリカのアマチュア指揮者ギャプランのように、この曲のみを偏愛する指揮者がいてもおかしくない。そういう意味では

爽快さという点でマーラー交響曲の金字塔

ということになるのだろう。

さて、この曲のもうひとつの特徴が、曲の構成のアンバランスな点である。『第9』やブラ1(ブラームス交響曲第1番)を想像して聴くと、肩すかしを喰らったような思いになるのは僕だけではないはずだ。フィナーレに向かって、なだらかに高揚していくストーリーではない。この曲に限らず、マーラーの交響曲を聴くときは

富士山のようなきれいな山を期待してはいけない

最終楽章も中間部は静寂に満ちていて、導入部からコーダの間のつながりが断絶しているように感じてしまう。だから、盛り上がりにイマイチ欠けてしまうところがちょっと残念。それでも、これはマーラーが敢えて意図したことなのだろう。ベートーベン式の勝利の方程式とは違うマーラー的勝利の方程式。

マーラーの交響曲では「動」よりも「静」が重要な意味を持つ。

さあ、今年の年末は『復活』を聴こう。








posted by やっちゃばの士 at 23:29| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | マーラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月30日

チャイコフスキー交響曲第4番ヘ短調

 気がつけばあっという間に30日。今年も後1日残るのみ。師走のあわただしい中、この時間もまだ仕事をしている。運河沿いの枯れ木に当たるかすかな夕日の光。遠く聞こえる船の汽笛と街のざわめき。それにしても、肌にも心にも浸みるこの寒さはどうしたことか。

081215_1649~01.jpg

 鋼のような寒さと、青い光。

チャイコフスキーの第4交響曲の第1楽章のほの暗い第1主題がわき上がってくる。身を切るような金管のファンファーレ。

 暗いパッション

彼は悲劇性を前面に押し出しながらも、この曲にはあきらめを超えた希望を託したのではないか。

 嘆きの第2楽章
 ピチカートがおどける第3楽章
 空騒ぎとしか思えない第4楽章


曲のストーリーとしては、ショスタコの第5番のように、強制された喜びを見出す何とも諧謔的な感じがするが、そのようなストーリー性とは別に、作曲家の大きな自信が伝わってくる。

そう、シンフォニストとしての大きな飛躍と自信

この曲の魅力は、暗い情熱、美しい旋律とともに、それらの背後にある作曲家の自信(大きなスケール)とでも言ったらいいだろうか。そういう意味で、

第5番や『悲愴』にはない独特の魔力がある
情的な彼の交響曲の中で最も意的なシンフォニー

この曲と初めて出会ったのが中学生の頃、バレエ音楽やバイオリン協奏曲などの美しく、暖かみのある音楽しか知らなかった僕の第1印象は

ぎらぎらと青く燃える鋼鉄のシンフォニー

このイメージは本当に強烈で、未だにこのシンフォニーの存在感は特別なものがあると思っている。寒々とした夕焼けを眺めながら、僕は来年に強い意志を持って行動することを決意した。



 
posted by やっちゃばの士 at 22:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | チャイコフスキー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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